樹(き)まみれ
杉山への愛情と憂い
11月17日、創樹会のやまあるきは朝から暴風だった。安全のため一般参加は中止したが、メンバーは宮津エコツアーのガイドさんと共に強行した。
杉山は「蛇紋岩」と呼ばれる約4億5千万年前の地質で、日本で2番目に古いもの…とガイドさんは目を輝かせながら語る。視界が悪い中奇跡的に見えた天橋立の絶景を経て、雨でぬかるんだ獣道を超えると、幹周り5mの大杉が霧の中に腰を据えていた。宮津・天橋立の数百年を見守りながら、今もなお年輪を刻む大杉と共に、創樹会は木になってみた。
かつては木材を得るために人の手が加えられていたこの山も、今では人との関わりが薄い。世の中では外国産の木材が主流。「これから日本の材はどうなってしまうのだろう」ガイドさんの表情には、未来への憂いが感じられた。創樹会よ、彼らの声を発信せねばなるまい。
ところで蛇紋岩から流れ出す水はマグネシウムを多く含むため、この水で育てた米はとてもおいしい。メンバーの一人が言った。「だって、蛇紋岩なんじゃも〜ん」。やまあるきが終わる頃、宮津は豪雨に見舞われた。